研修報告

オキナワ日ボ協会・オキナワ診療所 仲里 京美

JICA日系研修・集団『老人介護人材養成コース』

研修開始時の現状説明

  ボリビアは南米の中心にあり1825年8月6日、ボリビア共和国として独立し、現在の国土面積は1,098,581ku、人口850万人、人口密度は1ku当り8人であります。又、ボリビア人の平均寿命は64歳(男63歳、女65歳)とのことです。サンタクルス県は1950年代の人口が50,000人足らずであったが、2006年現在では130万人の都市になっています。
 
オキナワ移住地はサンタクルス市から北へ90km東へ行ったところにあります。オキナワ村は面積486kuで、人口11,643人(男6,147人-女5,496人)です。ここには19の団体があり、その内に医療機関は8つのポスタサニタリア(准看護婦1人)、ミクロオスピタルが1つと、オキナワ日ボ協会が運営する診療所が1つとなっています。
  私が住んでいるオキナワ移住地は、その管理団体としてオキナワ日本ボリビア協会があり、会員数は現在225世帯887人となっています。その内の高齢者(65歳以上)が152人で高齢化率17.13%となっています。最高齢者は男性で97歳です。高齢者の内訳は、90〜100才:男2人・女3人、80〜89才:男10人・女23人、70〜79才:男29人・女46人、65〜69才:男20人・女19人)となります。
  私が特に老人看護に取り組み始めたのが、1996年、第一期JICAシニアボランティアの保健師が当診療所着任された時から現在に至っています。保健師の方と家庭訪問、各地域で高齢者や婦人会の方々の集いに同行し、まず一人一人の血圧、脈拍、体重、体脂肪などを測定し、健康チェックを行い、健康相談、健康体操、運動、ゲームなどをし、地域の人々の健康づくりを実施しました。
  寝たきり老人を抱えた家庭には家庭介護の方法はもちろん、食事、排泄、体の清拭、又、身体の変化などについての指導や老人性痴呆症によるご家族の悩みの相談を受けてきました。
  又、一人住まいの老人で、体が不自由にもかかわらず、お一人でさびしそうに、不安そうで、食事も質素で、家事をしてくれる人もなく、だからといって家族と言える人たちが近くに住んでいない訳ではありませんので、私たちの役目はいったいどこまでで、又どのようにすれば良いのか悩みながらも、何らかの手助けはできたかと思います。
  又、私は現在診療所で看護業務を全般に実施し、外来、入院、診療所では対応しきれない患者を都市(サンタクルス)の専門機関の病院へ搬送し、医師や看護師たちへの申し送り、診療に必要な手助けをし、ある程度の診断や治療方針がきまれば家族に説明を行い、またオキナワ診療所で処置や治療がつづけられるまでになったら、移住地診療所へ帰院させ、患者が安心して治療ができる体制づくりの業務を行っています。
  デイサービスでは、参加者の血圧、脈拍測定を行い参加者の健康状態をチェックし、健康管理と体操、リハビリ運動、ゲームなどを担当しています。
  オキナワ移住地のデイサービスは2003年10月に発足し、月2回で朝9時から午後3時までです。予算はオキナワ日ボ協会からの年間3千ドルとバザーやリファ(宝くじ)などをして実施しています。スタッフは昼食担当のアカデミアと言う6名のグループの婦人の方々や、自主ボランティアの方々4名と各地域婦人会から1名と、診療所職員3名の計14名前後のスタッフで行っています。
  内容は、健康チェックとリハビリ運動、昼食、おやつ、手芸、子供たちとの交流、工作、カラオケ、パークゴルフなどです。
  私がこの研修に応募した目的は、今まで行っている看護および介護業務をより充実したものにすることと、又、今後ますます高齢化が進み寝たきり老人や、長期入院、老人性認知症などで家族や地域が抱える問題、特に診療所の大きな問題となる課題に、この研修でより専門的な、知識と技術を得ることを願って来ました。
  今までのJICA援助の予算が大幅に削減され、診療所運営が非常に厳しくなり、必要に応じた人員確保などに問題がでてきています。このような問題に地域の一人として、又、医療従事者の一人として大きく役立てるよう頑張っていけたらと願っています。

研修終了後の報告

研修期間: 2006年9月11日〜11月26日
研修受入機関: JICA 沖縄 国際センター、沖縄県看護協会
目的:相互に支え合う地域づくりの一環として、地域の高齢者への介護力を高め、現在看護や介護に携わっている者にたいし、介護等に必要な
        知識及び技術を習得することにより自国での活動の資質の向上を図る。
到達目標
  •  高齢社会の背景と高齢者保健福祉の現状と課題の理解ができる
  •  高齢者の加齢による心身の変化の理解ができる
  •  認知症に関する基本的理解ができる
  •  高齢者に対する日常生活援助ができる
  •  関係機関との連携の重要性を理解する
研修内容
講義
  •  老人福祉の制度とサービス
  •  長寿県沖縄の現状と課題
  •  高齢者の身体変化と課題
  •  高齢者とのコミュニケーションのとり方
  •  在宅看護の基礎知識
  •  緊急時の対応
  •  感染症
  •  高齢者の虐待予防
  •  高齢者の疑似体験
  •  ボデイメカニックス・ホームヘルプサービスの基礎知識
  •  介護概論と技術の展開
  •  高齢者の歯科保険、疾患、口腔ケア
  •  高齢者の食事の介護
  •  高齢者の心理
  •  認知症理解と対応
  •  訪問看護ステーションの実際
  •  音楽療法
  •  使いやすい高齢者住宅
  •  クリニックにおけるミニ・デイサービス
  •  市町村高齢者福祉計画
  •  介護予防について
  •  市の社会福祉協議会の活動と役割
  •  高齢者の食事作りの実際
  •  地区組織育成、実習
  •  福祉保健所の機能
  •  フォートボイス手法
  •  障害者福祉の制度と機能
  •  NPO法人『浅茅の里の立ち上げまで』

実習:
  ◇ 介護基礎実習『口腔ケア、食事の介助、移乗移動の介護、排泄、尿失禁、衣服の着脱、入浴介助、体位交換、床ずれ予防、家庭で工夫
      できる介護用品、清潔(清拭・フットケアー、洗髪、目耳など)』
  ◇ 実技・実習『願寿館活動』
  ◇ 現場実習 『大浜第二病院』
  ◇ 地区組織活動及び育成(高齢者のための食生活推進員活動)
  ◇ 認知症家族の会 『結成の経緯』 意見交換
  ◇ 地域活動見学実習 『NPO法人 浅茅の里』
  ◇ 施設実習 『特別養護老人ホーム ありあけの里』

研修場所
  •  JICA沖縄国際センター(浦添市 前田)
  •  沖縄県 看護協会(南風原)
  •  沖縄県 リハビリテーション福祉学院(南風原)
  •  津嘉山公民館(南風原町)
  •  沖縄県介護・実習普及センター
  •  若松病院(北中城)
  •  訪問看護ステーション『はえばる』
  •  糸満市役所
  •  糸満市社会福祉協議会
  •  読谷村役場、社会福祉協議会、大木地区(巻門宅)、高志保公民館、楚辺公民館
  •  北部福祉保健所(名護)
  •  名護市障害者支援センター『ウエーブ』
  •  『浅茅の里』(名護市)
  •  特別養護老人ホーム『ありあけの里』(浦添市)

移住地の今後の福祉看護保険活動
  ◎ 高齢者の福祉活動として:
      •  現在行われているデイサービス、リハビリ体操や健康体操を維持、そして、より充実したものにして行く。
      •  家庭訪問間看護を実施し、高齢者の生活、特に閉じこもり老人、一人暮らし高齢者や老夫婦の生活背景や状況を把握し今後の対策に結
         びつける。
      •  現在行われているデイサービスは元気な方々が参加されていますが、各地域でミニ・デイサービスを行い、健康的な問題やその他の問題
         などで、地域でなら参加できる方々のために、また、その状況にあったリハビリ体操、機能訓練、健康チェックや健康相談などを実施し、
        特に閉じこもりがちな方々に、触れ合いの場をもっていただくためのミニ・デイサービスを実施していく。

今後の課題
 •  なんらかの事情で一人暮らしをされている老人や認知症の方々を対象にしたグループホーム施設やショートステーが実施できる設備を行い、
   また多くのボランティアの方々に協力していただき、地域の原住民の若い女性たちに介護技術を教え広め、地域又は移住地が互いに助け合い、
   これからの高齢化に向けやって行けたら思います。

まとめ
  ◎ 今後の移住地の課題である高齢化社会対策には移住地の皆さんに現状を把握して頂くとともに、皆さんのご理解とご協力が必須となります。
     又、人間は誰もが年老いて行くわけですから、他人事とせず皆で考えて行けたら幸いです。
  ◎ 私たち移住者がより一層、互いに助け合うボランティア精神が広まり、高齢者に終生人間らしく楽しい生活が送られたらと思います。
  ◎ 私たち一人一人が健康で終生寝たきりにならない、させない環境や医療、福祉、保険活動をめざして行く、そのためには今回沖縄県の方から、
      沖縄ボリビア協会会長の玉木さんと沖縄看護協会の宮城さんのお二人が、オキナワ移住地の福祉に役立てることはないかと調査に見えていま
      す。保健師の宮城幸子さんは、私の研修担当の先生で、とってもお世話になった方です。 ぜひ今後も移住地のためにプロジェクトを立ち上げて
      いただき、福祉向上のため人材派遣をはじめあらゆる面からのご支援をお願いせずには居られません。

  最後に今回の研修に参加させていただき2ヶ月半の短い研修期間ではありましたが言葉では表現できないほどの収穫がありました。コロニア・オキナワから来たとのことで、どこへ研修にいっても親しく声をかけられ、大歓迎されました。講師の先生や、公民館で出会った老人会、ボランティアの方々からたくさんのことを学ぶことができ、また沖縄にいる人々も移住地のことを忘れていないことがわかりました。今回学んだ「沖縄のちむぐくる」を大切に、移住地、その周辺の人々の健康維持のために頑張ります。

 


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