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平成18年度日本語教師研修(基礎Tコース)研修会報告
2007年3月18日
サンタクルス普及校
渡辺 真生
1. 日本語教師研修基礎Tコース (於 JICA横浜)
2. 日時 2006年11月10日〜2007年2月20日 (65日間)
3. 研修対象者
教師経験2年以上の教師
4. 研修内容
(1) 子供の言語習得と人格形成
(2) 日本語授業の研究
(3) 技能別指導法
(4) 授業実習
(5) 日本語学校と文化活動
(6) 日本文化の体験、学習
(7) 継承語と地域社会
(8) 個別研究
@ 写真教材の作成
A テーマ「私の学校」について 約15分(11月10日)
B 個別研究、研修の成果について 約15分発表(2月22日)
合計402時間
5. 研修の主な内容
(1) 実習を通して
こどもクラス
日時: 12月9日から2月3日・毎週土曜日9:30am〜12:00pm.(計9回)
時間編成: 45分×3コマ
教師: T-Tで指導
学習者: 南米からきた子供たち(スペイン語圏、ポルトガル語圏)
クラス分け: 低学年クラス・高学年クラス・中学生クラス・新規クラス
1.低学年クラス: 人数: 2名 (男1名、女1名)
学年: 小学1年生、2年生
日本へ来てから1年半ほどの児童対象
主な教材:にほんごドレミ
2.高学年クラス: 人数: 5名(男2名、女3名)
学年: 小学5年生から中学1年生
日本へ来てから1年半から3年程度の児童対象
主な教材:こどものにほんご
3.中学生クラス: 人数: 9名(男4名、女5名)
学年:中学1年生から3年生
日本へ来てから1年から3年程度の学習者対象
4.新規クラス: 人数: 3名(男1名、女2名)
学年: 小学6年生から中学2年生
日本へきたばかりか、来て3か月程度の学習者対象
指導の実態と評価
各クラスを巡回指導し、TTを原則とした。そして、T1,T2は常に交代しながら指導した。
低学年クラス、高学年クラスでの基本的な教材は、低学年クラス「にほんごドレミ」、高学年クラス「こどものにほんご」を使用した。
中学生クラスでは、T1,T2が話し合いにより、前時までの既習学習内容に基づいて学習プリントを作成した。事後指導では講師と共に
授業者全員で話し合いの場を持ち、学習者ひとりひとりの評価を行うと同時に指導者の自己評価も実施して講師から指導を仰いだ。
リライト
リライトの方法
1、 文章全体を短くまとめる。
2、 必要な部分を取り上げて文章をつなげていく。
リライトのポイント
・ 学習者の既習語彙を把握し、学習者の日本語レベルに合わせた文章に書き換える。
・ 既習文型に置き換え、読む意欲を引き出し、わかる事を実感させる。
・ 全体のうちの20%ほどわからない部分をつくり、考える力をつけさせる。
・ 学習者が読んだときに疲れない長さにまとめる。
その他リライトしたもの 楽しく読もうU 28課 「近くの他人」 凡人社著
昔話 「おむすびころりん」
ディズニー「クリスマスキャロル」等
インストラクションの大切さ
試案 |
改善案 |
|||
1 |
T : S : |
(プリントを渡す) 始めてください プリントをする |
T :
S : |
(プリントを渡す) このプリントを読んでください、声に出さなくていいです。一人で読みましょう。 2 分間です。 プリントをする |
2 |
T : |
ゲームをしましょう。この中から取って、読んでください。そして、その文型を使って文を作ってください。
ゲーム開始 |
T :
T : S : T : |
これからゲームをします。この中からハシで1本、メンを取ってください。何が書いてありますか? Ej :〜くて、〜。 〜〜さんてどんな人ですか?× 2 人 ( S :きれいですです、 S2 親切です) きれい・・・で、親切です ゲーム開始 |
インストラクションの工夫点
・ 学習者が混乱しないよう、これから何をするのかをはっきり提示する。
・ 学習者の既習言語を使用する。
(説明をする場合、混乱しないよう初級の場合は媒介語を使ってもよい。)
・ プリントをする場合でも、ゲームをする場合でも、1問だけ一緒になってやってみる。
・ どのくらいの時間ですればいいのかをきちんと言う。
・ 問題をする場合は、どこを注意して読んだらいいのか、ポイントをはっきり言う。
個別研究
写真を使った教材づくり
テーマ 「これはなんですか?」
「なに」 かがわからない 「何か」 を見て ものを当てる楽しさ。
ねらい: 学習者のゲーム感覚を刺激し、授業への興味を引き付ける。
工夫点: デジタルカメラを使用した教材作成。
映像を使用した方法。
テーマ設定: 1.簡単で時間をかけずに作成することできる。
2.アイディア次第でどんなものでも作ることができる。
3.1枚の画像でもいろいろな活用法がある。
今後の方向性: 学習者が題材に興味を示し、積極的に授業に参加するよう学習者に題材(テーマ)を出題して、教材を作成させる。
6.研修を終えて
研修に参加する前は、授業案の作成、授業の進めかた、教材の選びかた、学習者とのコミュニケーションのとりかたなど、すべて自己流でやっていたが、専門の講師から講話を聞くことによって理論的背景を理解することができた。また、示範授業を見せていただき、授業の進め方や注意点など大切なポイントがわかった。そして、個人研究では助言を細かい部分までご指導を仰ぎ、学習者にとってわかりやすい授業のあり方がよく理解できた。
特に、わかりやすい文型の導入の仕方など、ボリビアにいた時には、参考図書を見て考えていただけでわからなかった点が、先生方に示範授業をしていただき、大切なポイントがわかった。また、導入の仕方や授業について何度もアドバイスをいただき「あぁ、こうすればわかりやすく説明ができるのか」と納得し、とても参考になった。
また、私は生徒からの上手な会話の引き出し方を知りたいと思っていた。それは先生方の授業だけでなく、他の研修生の授業を見た時などにも、参考になるアイディアをたくさんいただいた。
そして、実習を通して講師の先生方に自分の教案や授業を見ていただき、いい点や改善点を教えていただくことによって、次回の授業でより良い授業ができるよう、どこにポイントを当てたらよいのかを知ることができた。
今回の研修の大きな目的のひとつに、先生方や他の研修生の授業を見せていただき今後の授業への参考にするということがあった。みなさんから、たくさんのアイディアを提示していただけたことはうれしかっただけでなく、とても参考になった。数々の工夫や改善点を学び、日本語教師として自分が多少成長できたと思っている。今後は、この学んだ知識を十分に活用して学習者のために役立てていきたいと願っている。
インターネットや友人の話などで日本の情報を得ていたものの、実際に日本の土を踏み、その匂い、雰囲気、息使いなどを膚で感じられたことも大きな収穫であった。京都や奈良などを旅行したことにより、日本の文化や歴史の厚みを感じ、ボリビアとの文化の違いを感じた。
私は日本で生まれ、中学まで日本で生活していたが、長く日本へ帰っていなかったので、学習者に日本の文化や生活について質問された時、戸惑うこともあった。しかし、今度は的確に答えられる自信が少しはついた。
また、4つの学校訪問をさせていただき、規律ある日本の学校の雰囲気に気持のよさを覚えた。教師が笑顔で質問し、子どもたちがキビキビと答え、楽しそうに授業する姿が忘れられない。おいしくてバランスのとれた給食を4校すべていただき、感激した。
4校の内1校は、日系ブラジル人の子弟を対象にした学校で、授業は全てポルトガル語で行い、基礎の日本語を教えていた学校であった。
その学校で学習した子供たちは、ブラジルへ帰国した後で履修した科目は単位として認められ、継続して学べるということであった。日本語のわからない子どもたちが、日本社会で問題を引き起こしていると聞いていたので「わかる授業」を目標にしているこの学校は、子どもたちにとって大きな援助になっていると思った。
5ヶ月という長い研修の中で他の国からの研修生との出会いがあり、互いに同じ学習友達という気易さから、今後も情報交換をしていくことができるのは、大変ありがたい。「百聞は一見にしかず」という通り、体験を通して多くのことを学び身につけられたことは大きな財産になった。今後も日本語教師として意欲をもって取り組んでいきたい。