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ア・ベ・ホタつうしん 毎月1日発行
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発行:サンフアン日ボ協会
発行責任者:日比野正靱
通信

 2006年 7月号 【通巻114号】(一部抜粋)

エボ政権と土地問題


モラレス大統領は就任してただちに公約を実行し、意欲的に活動している。教育、医療、スポーツ、各種イベントにも積極的に参加し、サッカーのワールド・カップが最貧国のボリビア国内でテレビですべての試合が観戦できるのもモラレス大統領の努力である。 
ガス・石油の国有化は、将来、長期的視野でその結果はどうなるかは疑問であるが、中でも特記すべき事業となった。しかし、ガス・石油の国有化に伴い、さらに土地の国有化(接収と先住民への再配分政策)、鉱山の国有化などにも発展し、特に土地の国有化(農地改革)は、現在、国内で大きな問題となりつつある。これとは別にサンチェス元大統領時代に民営化した鉄道、電話、電力会社関係も近く51%の権利を得て、国に運営権を有する体制にする構想がある。
5月25日、シナオタ市にてベネズエラ、キューバ、ボリビアの3カ国間で第2回TCP(Tratado de Comercio entre los Pueblos=国民間貿易条約)がベネズエラのチャベス大統領、キューバのラーゲ副大統領らの出席のもと、コカ栽培者7万人が集結し盛大に挙行された。衛生、教育、チャパレ地区開発、財政、ガス・石油開発、鉱山開発などキューバ、ベネズエラからの助成・援助の約束が交わされた。サルバティエラ農牧大臣はこの時、「ベネズエラから1億ドルの援助金を得ることが出来た。この資金で『第2回農地改革』政策を強く前進させることが可能となり、再配分された先住民への営農資金の融資源も勧業銀行を設置し、資源の確保ができた」と発表している。
この集会でMAS党は、7月2日に実施される自治制の国民投票と憲法改正議員選出でMAS党員の賛同を強く要請している。モラレス大統領は12月の大統領選で53.7%という支持率で当選したが、先住民はボリビア国独立の際の、憲法の作成には除外視され、以後今日まで先住民の声は憲法に反映されておらず、真の勝利を得るのは、先住民の意見や考えに沿った憲法を改正すること、として強く要請している。
右派党政権に有利な憲法になれば、せっかくガス・石油の国有化したにもかかわらず再び民間の手に渡ることになる。土地の国有化に関連しても、先住民に土地を配分できなく、今までのように外国人や、一部の資本家の所有物になる、などと演説し賛同を呼びかけ、MAS党の政治運動の場ともなった。この意見にベネズエラのチャベス大統領も90%は先住民の納得がいく憲法に変えていく必要性を訴え、右派党政権には反対するよう呼びかけている。
モラレス大統領はじめチャベス大統領、ラーゲ副大統領は民族衣装で現れたが、モラレス大統領がかぶっていた帽子には『2010年』とししゅうされているのが見えた。これは次期大統領選にも継続してなれることを憲法改正するという意味がある(現憲法では大統領の再選は認められていない)。
土地の国有化が表面化し、政府筋は先住民への配分はあくまでも国有地だという方針? であるが、農民、先住民はただちに空き地には不法侵入してもバックにはコンパニェロ・エボが味方してくれると思い込み、また、早い者勝ちという気持ちも高ぶり、サンタクルス県内の多くの農地で不法侵入問題が出ている。現在土地問題が起きている土地(8件)の他にサンタクルス県内では27箇所の土地が、INRA(農地改革院)の手続きが不法に行われている土地だとして、MST(Movimiento Sin Tierra=土地なし農民)の標的になっている。この中には4ヶ所のメノニッタ移住地も入っており、現在すでに紛争中の移住地もある。
  6月3日、土地の不法侵入問題で政府側とサンタクルス、ベニ、パンド、コチャバンバ、タリハ、チュキサカ、ポトシの各県の農業関係代表者との会合がコチャバンバ市で実施されたが、決着が付かず、問題はさらに深刻化する状況となった。
  6月4日、モラレス大統領は各県の土地に関する紛争を無視した形で『農地革命』と称する土地に関する7つの最高法令を公布し、先住民への土地として7県内の土地の総面積310万ヘクタール分の土地の地券を発給譲渡した。これで3万5千295戸のMSTを含む先住民が地主になれる、と自分の政策は土地を取り戻し、真のボリビア先住民や本当に土地を必要としている農民に与えることがボリビア人によるボリビア人のための政治だ! と力説。、7月2日の憲法改正議員の選挙についても、MAS党議員の勝利にして、先住民や農民のための憲法に改正するよう呼びかけている。
  6月8日、土地に関する会合の結果が出ないまま、現場では不法占拠行為が続き、グアラヨス地区の不法侵入地で農場側のアヨレオ族とMST(Movimiento Sin Tierra)の不法侵入者との間で対立し、銃撃戦にまで発展、土地紛争の問題に関連しての初めての犠牲者が出た。
6月10日にはオルロ市でMST(Movimiento Sin Techo=屋根なし)との住宅地の不法侵入問題で争いがあり、1名がダイナマイトで犠牲となり、負傷者はこれで16名となった。6月16日にはコチャバンバ県のバリェ・エルモソ地区西方のアグアダスで私有地にポトシから農民200名が不法侵入する事件が発生した。農民はダイナマイトを使用して恐喝するなど、大きな騒ぎになったが、警察が仲介し死者が出る結果とはならなかった。
6月18日にはサンペドロにあるANAPOの出張事務所がMAS党農民に占領される事件が発生した。この事務所用地には地区道路管理委員会が自己資金で購入したモーターグレーダー3台とその他道路維持管理に必要な重機が保管されており、MAS党農民がこの重機を狙って占領したもので、不法地帯の現状とMAS党の政権=なにをしても許されると言う思い上がった政治が浮き彫りになった事件であった。
  国境から50キロ以内の土地には外国人は土地を所有できないと法律では決められているが、政府はパンド県で、これを土地に関する政策で厳しく取り締まる事となり、1ヶ月前に関係省庁からブラジル人約200戸に立ち退き通告が出されて、6月19日にその期限が切れた。政府はさらに15日間の期限を与え、立ち退きを要請しており、その期限を最後にボリビア政府は軍と警察の力でもって立ち退かす計画で実行する体制を整えている。ブラジル人は200戸以上がこの地域一帯の60万ヘクタールに数十年前から居住しており、製材所、農業、畜産などを営んでいる。
  サンタクルス県の農民連合体(Federecion de los Campesinos)は、政府が220万ヘクタールの農地を分譲するからと、連合会の事務所で1人当たり50ヘクタールの農地の希望者リストを作成している。ベニ県では話し合いで決着が付かねば、銃を持ってでも守るという意気込みがあり、将来、大きな紛争が起きる雰囲気である。

 

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