ボリビアのニュース
ヤパカニ市を先住民保護地区に (EL DEBER10月27日、28日)
ヤパカニ市長より絶対的権力を持つシマル・ビクトリア(Federaciones de los Colonizadores=内国入植者農民連合総長)は、ヤパカニ市を『Territorio de Pueblo Indigena Originario』(インディヘナ先住民居住保護地区)と定めると発表した。シマル・ビクトリアの説は、ヤパカニ地区は我々の先祖代々が残した土地であり、文化的に見てQhara qhara, Chuwi, Sora Charka, Chicha族などの先住民的文化が入り混じっているため、インディヘナ先住民保護地区と指定し、法人格取得手続きをして、その後、土地もこの地域一体を『Tierras comunitarios del Origen』としてサネアルしてもらうと説明している。
もちろん、先住民保護地区となれば、個人地券所有者は先住民でない事を理由に追放される可能性は充分ある。当然、これを最大の狙いとして動いている事は明白であるが、一部の古いヤパカニ市民は、この説に対して「でっちあげもいい加減にせよ!」と反対する動きも見られる。すなわち、ヤパカニ市はイチロ河とヤパカニ河を境界線とし、この地域一体には、昔から、ユラカレ(Yurakare)とグアラニ族(Guarani)が先住民として居住していて、インカ帝国の子孫でもなければ、Qhara qhara族でも Chuwi族でもない。1940年にはクルセーニョたち(カンバ)が住んでいた時期もあり、MAS党やその党派はその歴史を充分知っているはずなのに、なにかにつけては、内国入植者農民連合団を基準にして物事を考えることはけしからん、と反発しているようである。
11月7日に、シマル・ビクトリアが率いる入植者農民連合体が、AGAYAP(ヤパカニ畜産協会)が所有している500 haの牧場に不法侵入した行為に対して、11月16日、市民委員会を始め、40の各種団体は、シマル・ビクトリアとその代表者らの傲慢な行動に対して、ヤパカニ市から追放する運動を起こした。
ビクトリア氏は「50人ほどが追放すると騒いでも、何の効果も無い。私は5万人の同志を集められる力がある」と、余裕の発言をしている。当日、追放の動きに集まった人数は約1千200人であった。
ガス・石油採掘会社との新契約 (EL DEBER 10月28日、11月1日、ニッケイ新聞メルマガ10月29日)
エボ・モラレス大統領が今年4月28日に、ガス・石油の国有化を実行して6ヶ月を経た10月28日に、政府が提示した条項に沿って、各石油掘削会社との間で新しく営業可能となる契約を結ぶ。現在、国内で営業している採掘会社は21社あり、この内15社が新契約の締結をする必要がある。今回の国有化の法令第28701号の主要項目は、
@政府はすべての地下資源の所有権、権利、コントロールを政府のものとする。
A国内で採掘しているすべての会社は、生産物はすべてYPFBに引き渡す。BYPFBは政府を代表し、生産物の商品化、輸出、工業化を担当する。
C国有化の法令が公布された日から180日以内に新しい契約に署名しない採掘会社は、この期限が過ぎれば国内での採掘・営業権を失う。
D国内での地下資源の生産を保証するため、新しい契約に署名しない採掘会社の業務はYPFBが代行する。
E新契約に従い、総売上の82%をボリビア政府に、18%が採掘会社の利益とする。
などが主要条件であり、10月28日がその期限となった。最後まで難色を示していたブラジルの採掘会社(Petrobras)も、ブラジルの燃油不足のため、ボリビア側の条件にやむなく応じる形となった。ボリビアからブラジルへのガス油送管が完成された時点で、ブラジルはガスの安定した供給を前提条件として火力発電所をブラジル国内に13基建設したが、現在、ガス不足で操業可能な発電所は8基だけとなっている。ブラジルは原油の高騰から、今後とも継続してボリビアからガスを購入する意思はなく、当分の間の需要を必要限満たすためであり、水力発電も水不足で45%しか発電しておらず、近い将来、原子力発電所を増設して国内の電力の需要を解決する計画である。
しかし、技術的に未熟で安全対策が不十分だとして原子力発電に反対する環境省の意見も強い。ブラジルは世界で5番目の豊富なウラン埋蔵量を有する国であるが、宝の山に座って電力不足で泣いている状態にある。
農地改革法の改正法案と土地問題 (EL DEBER 10月24、31日、11月5日、6、8、10、12、14、15、16日)
農地改革改正法案はINRAの活動期限が切れた後も、業務は続行する形となったが、改正法案の内容は決定せず、グアラニ先住民は「我々の要求と権利を明確にするために、また、INRAはTCO(Territorios Comunitarios del Origen=先住民共同社会領地)として短期間内にサネアルし、所有権の復帰、配分を近隣の畜産農家や農業者の賛同を得ることなく、速やかに実施せよ」と要求し、改正法案は是が非でも先住民優先に認可されるべき、と強く抵抗している。10月24日には道路封鎖を実施し、31日には、グアラニ先住民ら数百名がラパスに向けて行進を始め、コチャバンバ市で先住民800名が合流、さらにラパス市でも多くの先住民が合流する予定であり、早急な国会での承認を要求している。ラパス市まで1ヵ月半を要して歩くことで反抗の姿勢を示している。サンタクルス市民委員会やANAPO会長は、現在、歩いている農民たちは、彼らの意思での行動ではなく、政府(MAS党)が後押ししていることは明白だ、と述べている。11月6日、行進はブエナビスタに到着。足に大きなマメができて15人ほどが断念したが、一行310名は引き続きヤパカニに向かった。
先住民の行進隊がヤパカニに到着する11月7日、ヤパカニで不法土地侵入問題が発生した。不法侵入したのはシマル・ビクトリアが率いる国内入植者農民連合で、農民300人が不法占拠した土地は、AGAYAP(Asociacion de Ganaderos de Yapacani=ヤパカニ畜産協会)が所有する500 haの牧場である。屠殺場を含め事務所や住居、牧柵や牧草が栽培されて土地はすべて利用しており、地券も法的に取得しており、侵入される覚えはないと、ヤパカニ畜産協会側やヤパカニ市民団体はシマル・ビクトリアの悪習とのぼせ上がった行動に対し怒りを隠せない状態である。INRAや市役所が仲介して問題の解決に努力しているが、入植者農民連合は多くの同胞たちによって、侵入した土地への通行止めをしながら、行進している先住民を盛大に歓迎した。あまりにも待遇が良かったのか、2晩の休養を取りサンへルマンに向かった。
一方、国会では10月31日に大枠で決定された改正案の42ヶ条にわたる細部について11月8日に再検討する事になったが、Confeagro(Confederacion Agropecuaria Nacional=全国農牧連合体)などの意見に関係なく、先住民と共同体への領地復帰を最重点とした成り行きで、CAO会長とConfeagroの会長も兼務するマウリシオ・ロカ(Mauricio Roca)氏は、「我々にも抵抗する手段がある」と訴え、話し合いは中止された。
MAS党国会や先住民団体とサンタクルスの東部農牧会議所(CAO)や全国農牧連合体(Confeagro)との意見の相違ヵ所は前表の項目にて意見の食い違いが見られる。
11月14日のUNITELの朝のニュースで、 MAS党から援助されてラパスに向けて行進しているインディヘナは、イビルガルサマ市に着くところで、行進の列に車が突っ込んできて、2名が死亡、12名が負傷する事故が発生したと報じた。
農地改革の改正法案は国会で、さらに1週間延長され、いまだ最終決議はされていない。問題とするところは、農地改革改正法案の内容もそうであるが、現況の土地に関する動向は、すべて先住民や農民に有利な方向でMAS党はじめ国会が動いている事であり、農民は法に関係なく、地主が不在の農地はすべて我々が侵入しても問題ないと勘違いすることや、あるいは、もっと傲慢な農民は現政権が農民の見方である事に甘んじて、地主がいることや仕事をしている事を認識していながら、不法侵入して自分たちの所有物件となれば、儲け物だという魂胆で不法侵入することが頻繁に発生することが予測されるからである。
Bono Escolar 小学生手当て支給 (EL DEBER10月27日、11月8日)
政府はガス・石油の国有化から生じる多額な利益の中から、公立校と協定校の小学1年生から5年生までの児童だけを対象に、Bono Escolar(学生手当て)としての『 Bono Juancito Pinto(ボノ・フアンシート・ピント)』を今後継続的に支給する法令第28899号を公布した。エボ・モラレス大統領は少年期に学費はもちろん、学用品や衣類、食糧も不足する貧しい時代を経験した事から、子供たちにあのような悲しい思いをさせたくない気持ちで、Bono Juancito Pintoを支給する事になったらしい。今年は11月12日から12月12日までの1ヶ月間に児童1人当たり、一括して200ボリビアノスを支給する。来年度からは始業式の時期と終業式の時期に年2回に分けて 100ボリビアノスずつ支給する。『Bono Juancito Pinto』の語源は、1879年のチリとの戦争で英雄として称えられた少年の名前を起用した。
この法令で支給対象となる児童数は全国で約120万人にのぼり、年間3千万ドル強を要する。大統領個人やMAS党の政治活動の一環としてのような宣伝文句が、微妙に気にかかる法律であるが、受け取る側は、ボリビア人特有のタダでもらえるものは何でも「ありがとう」で、生徒の親は出生証明書や身分証明書の取得のため、走り回っている。
ベネズエラのチャベス大統領の影響もあって、このような国の歳入の使途を考え出したのであろうが、チャベス大統領も今年12月に大統領選挙を控え、本人も立候補しており、自分の選挙運動の一環として11月に2ヶ月分の給与額に相当するボーナスを、そして12月には1ヶ月分のボーナスの支給を公然と約束して、多くの票の獲得に努めている。このようなことが当たり前の行動として通用するのが、ラテン・アメリカであろう。
毎年、学生にむやみにバラまかず、年次別に3千万ドル強のお金で学校などの教育施設やコンピュータや参考書などの教材・什器備品の充実に使用したほうが良いのでは? と思うところもある。教育施設などの建設は外国からの助成金で作ればいいとでも思っているのであろうか? この法律のウラには、生徒の出生証明書などを、これを機会に整理させようと言う狙いがあるのならば、モラレス大統領はなかなかの政治家であろう。
11月12日の支払い初日、エボ・モラレス大統領はサンタクルス市のコーリャが多く住むVilla Primero de Mayoにある体育館で、直接児童らに手当て手渡し、来年は高校生も対象に支給する事を約束した。
副大統領は同じくモンテロ市で児童らに支給したが、冒頭にエボ・モラレス大統領が少年期に体験した貧困生活からヒントを得た手当てである事を強調し、有意義に使用する事を保護者に訴えた。今までの政府は国民から金を吸い上げる事しかしなかったが、政府が国民に現金を支給するという事は大統領の支持率が急増するであろう。
パスポート申請件数急増と移民対策 (EL DEBER10月24日、11月5日)
ボリビアでは1日平均500人がヨーロッパ、特にスペインに出国しており、その内の55%はサンタクルス県からである。また、出稼ぎのため出国する大半は、国内の中流階級に属する家族で、中小企業は中堅の労働者不足を深刻な問題として指摘している。ボリビアでは現在、外国で暮らす出稼ぎ者の人口は340万人(全国民の3分の1)ともいわれており、この調子で外国に中堅的人材が流失すれば、ボリビアは極端な資産家(お金持ち)と極端な貧困家族(農民)だけになってしまい、中小企業も運営不可能となることが予測されている。
10月20日、政府はパスポート不足を理由に、12月までは1日500部程度の発給と外国への出国を急がない者は12月発給予定のICチップつきのパスポートを申請するよう奨励している。
10月24日、政府はパスポートの在庫が少ないことから、サンタクルス支局では日に発給するパスポートは200部になった。ちなみにサンタクルス市内に建築中のコンドミニオの購入者の多くは、家族が出稼ぎに行っている。
RUDE (EL DEBER 10月25日、28日、11月8日、9日)
フェリックス・パッツィ(Felix Patzi)文部大臣は、この度、すべての学生の個人情報を把握するために、Registro Unico de Estudiante(RUDE=学生登録書)の作成を発表した。確かに全国で何人の小学生が存在するのかという正確なデータの把握は、教員数と教育施設・資材などの予算化の上で必要不可欠な事実であるが、しかし、その調査様式には、何処に誰と住んでいるかとか、宗教は何かとか、両親の職業とか、児童に直接関係がない社会経済関連の調査項目が多いこと事から、多くの教育機関が反対したため、一時保留する形になった。11月9日、文部大臣は一部の質問を除外して、来年3月の実施を発表している。
アイマラ語やケチュア語とのバイリンガル方式を奨励したり、私立校を無くして公立校だけに統一する考えを公表したり、カトリック教などの宗教関係団体が経営している学校を非難したり、宗教の強制授業を批判したりと、色々な問題で何かと噂されている文部大臣だ。教育関係者は、大臣の辞職を要請しているが、11月9日、エボ・モラレス大統領は内閣の変更はないと公表した。
会派・PODEMOSが正式な政党に (EL DEBER 11月2日)
元大統領のトゥト・キロガ(Ing. Tuto Quiroga)氏が代表となっている市民グループのPODEMOS(Agrupacion Ciudadana)は、12月4日に正式な政党として誕生する予定だ。MNR党、ADN党、MIR党、UCS党などの従来の政党は、現在、それぞれの市民グループに分散された状態にあり、正式な政党としては、MAS党だけの一大政党となっている。今回のPODEMOS党誕生は、これに立ち向かう一大野党として活躍するための政策で、新しい民主主義国家を再構築するためには市民グループのステータスでは、都合が悪いのであろう。
ただ、政党として新しく誕生するには最後に行なわれた選挙で獲得した票の2%相当数の同士の署名と、政党のリーダー名簿と、政党の定款を関係当局に提出する必要がある。アルバロ・ガルシア副大統領は、PODEMOSに対して、過去に存在していたゴミ同然の政党の集団に何ができる? と批判的である。
3ヶ所で製糖工場の建設が (EL DEBER 11月5日)
チャパレ地区ではベネズエラ・ボリビア商工会議所が創立され、ベネズエラからの資金で、地区内に精糖工場建設の計画が具体化されつつある。数年前から試験場でキューバ、オーストラリア、ブラジル、コロンビアなどから優良品種を導入して、チャパレ地区での品種比較、収量比較、病虫害比較、適応比較試験が行なわれ、品種の選定もほぼ終了段階にある。一方、オビスポ・サンティステバン郡のサンペドロ市では、UNAGRO社と国際投資機関の出資で、製糖工場の建設を計画中であり、すでに、カーニャの種子用として400 haを栽培しており、計画が具体化すれば、ただちに商業的な栽培体制に入る段取りとなっている。もう一つはミネロ市より7Km地点のアリアンサ(Alianza)地区にスペイン資本の精糖工場建設の計画がある。
ATPDEA協定延長か? (EL DEBER 11月8日)
今年12月末をもってAtpdea条約が切れるが、この度、CAN(Cominidad Andina=アンデス共同体)は、正式にアメリカ合衆国の国会に契約の延長を要請した。
ATPDEA条約については本誌9月号でも紹介にしたが、ボリビアの中小企業の多くは、この条約のおかげで経営が成り立っており、従業員もそれ相当の生活ができる。この条約の延長がなければ、ボリビア国内ではさらに多くの失業者が出て、多くの中小企業が倒産する結果を見る事になる。
モラレス大統領も自国の産業活性化政策の一つと位置づけ、条約の延長手続き前ぐらいはアメリカの機嫌でも取ればいいのに、ベネズエラと歩調を合わせて相変わらず憎まれ口をたたいている状況だ。ATPDEA条約に関係がある国はボリビア、ペルー、エクアドル、コロンビアで連名署名して要請したものである。アメリカも上下院議員とも民主党に入れ替わり、条約延長が期待されるが、現段階では明白ではない。11月16日、アメリカ政府はモラレス大統領との電話で、ベネズエラのチャベス大統領と、キューバのフィデル・カストロ前議長と弟のラウル議長との影響を受けずに、ラテン・アメリカ本来の優勢的路線で統治する道を選択するよう要請した。
コカとコカイナ (EL DEBER11月10日)
ボリビア政府は今年12月までに5千haのコカ畑を撲滅しなければいけない。しかし、現状ではモラレス大統領はコカ栽培のリーダー出身である事から、コカ撲滅運動どころか、1カットは自由に栽培しても良いなどと、むしろコカ栽培に乗り気だ。コカの葉はボリビア人にとって生活する上で必要なものと位置づけ正当化しているが、最近のコカ栽培は増え続けており、麻薬(コカイン)の摘発量も著しく、コカイン密造もあちらこちらで頻繁に行われている。アメリカのフィリップ・ゴールドバーグ(Philip Goldberg)大使は、多くの農民の間でコカインが公けに製造されている現状に憂慮して、モラレス大統領に意見したが、大統領は開き直って、「ボリビアのコカ栽培を心配せずに、自国(アメリカ国内)でのコカイン消費量を減らす心配をしたらどうか?」と述べた。大使はただちに「国際的調査ではアメリカのコカイン消費は減少にあり、今、消費が増加しているのはヨーロッパ、ブラジル、ボリビアである」と返答している。先進国と最貧国の考え方の相違から、あるいは教養の差から生じる問題であろうか。
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