**ボリビアのニュース**
国有化問題
NACIONALIZACION
(EL DEBER 5月2日)
* 石油・資源の国有化
5月1日、作業用ヘルメットを着用したモラレス大統領は、公約に掲げた「国内の天然ガスや石油の国有化宣言」をタリハ県のカラパリ油田で行なった。
ボリビアでは1937年に第1回目の国有化をし、1969年に第2回目、37年が経過した今年2006年に3度目の国有化である。大統領の天然ガスや石油の国有化宣言と同時刻に、ラパス市ではガルシア副大統領が国会議事堂のバルコニーから、天然資源の国有化に伴い、国内の56の油田基地は軍部の管理下にある旨の発表宣言があった。
国有化に関する最高法令「エロエス・デル・チャコ」では、交付から180日以内に再契約その他の諸手続きを完了しない石油掘削会社は、国内での操業はできないことになり、ただちにYPFBが管理することになる。さらに、2005年度で1日1億pies3以上の生産があった油田に関しては、売り上げ総額の82%は政府に、18%を掘削会社に分配されることになった。
この法令による天然ガスや石油の国有化に関する結果が、近い将来、ボリビア経済にどう影響するか、また、天然ガス資源開発外資会社がどういう態度をとるか、今後ボリビア国内で他業界での外資系会社の投資見通しがどうなるかは未定だ。
* 土地の国有化問題
モラレス大統領はいくつもの公約をわずか就任3ヶ月で着々と実行した。国有化がよっぽど気に入ったようで、憲法改正議会前に農地の接収と再分譲(土地の国有化=農地改革)、林業の国有化、水利権の国有化、鉱山の国有化なども逐次実行すると公表している。
中でも利用されていない土地については検証して最高法令に従い政府が引き取り、土地を持っていない者(先住民や高地民族が最優先)に再配分する、いわゆる第2の農地改革は早い時期に実行されるであろう、とサルバティエラ農牧大臣は公表している。
サンタクルス県の「Movimiento Sin Tierra=MST=土地なし農民」は、4つの郡に配置しており、今までに配分があったのは1万6千ヘクタールのみで640家族分にしかなく、モラレス大統領が農地改革を実行する日を、首を長くして待っている。MAS党議員が有する資料によると20万家族への配分が必要、とのデータもあるが、果たしてカンバが土地を接収されて、黙っているであろうか。この処置はサンタクルス県、ベニ県、パンド県がその対象となっているも、特にサンタクルス県の土地にMST連中は興味があるようである。
5月12日付けの新聞ではサンタクルス県の関係団体は、政府が農地の国有化を実行すれば頑固と対抗すると発表している。同じく林業関係についてもMAS政権が説明するように、先住民や農民を対象として伐採権を再譲渡しても意味が無く、投資家によって開発し、間接的にその恩恵を受ける形が最も理想的であるとして、強く反抗する姿勢を見せている。
銀行などの金融機関では担保物権の殆どは土地であるが、この土地が国有化されれば、担保物権をどうするのかと言う心配も隠せない。
5月22日、サンタクルス県内では5ヵ所の農地で不法侵入が見られ、書類を持っていてもINRA(農地改革院)の所長もMAS党支持者であり、その書類は無効だとしてなんの善処もしない態度だ。不法侵入した農民は自分たちの陣地にボリビアの国旗とMAS党の旗を揚げてロッテ割作業を続けている。
すでに土地に関しては無法地帯となる要素が見られ、このまま行けば国内で争いが起きることも予想され、ここ数年は非常事態がいつ起こるか分からない状況となりつつある。
* 鉱山の国有化問題
鉱山の国有化も考慮されているが、今のところどのように実施するかは明確ではない。分からないのは国有化とする一方で5月末にはムトゥン(Mutun)の国際入札がある予定だ。こんな時期に外資系会社が巨額な資金を投資するであろうか? ただ、政府はムトゥンに関しては20年間保障するとしているが、それを信用する会社がいるか疑問である。すでに中国資本やインドからの業者など計3社がムトゥン鉄鉱山の開発に興味を示していたが、30億ドルの投資にしては利益が無いのと、政策不安の要因で入札を中止する意向であるが政府は入札参加が1社でも実行すると強気である。
* * *
先住民による政治と社会主義政策の流れに並行して、国有化の動きはラテン・アメリカ全体の流れであるが、間違った方向に進んでいるのではないかと憂慮する。先進国の日本でも地方分権や民営化に移行するべく議論されている現在、また、南米最貧国のボリビアでは10年前のサンチェス・デ・ロサーダ政権の時期、いち早く地方分権と民営化に踏み切って、その成果を見ずにすべてを国有化ということは時代に逆行しているのではないだろうか?
最低賃金の増額と労務契約の一部改正
(EL DEBER 5月4日)
ボリビアの最低賃金は月額440ボリビアノスと定められていたが、この度のモラレス政権によって、最高法令第28699号で月額500ボリビアノスに改正された。実質的に60ボリビアノスのアップとなったわけであるが、率にすると13.63%となる。
本法令は5月1日より有効であり、1ヶ月以内に公私を問わず、すべて雇用する労働者に対して、本法令に従って給与調整しなければならない。同時に最高法令第287000号では労務契約はすべて無期限契約となることから、臨時雇用制の労働者は5月1日からその労務契約は自動的に無期限雇用契約制となり、臨時雇用制の労働者も名簿(Planilla)に記載して報告の義務がある。ただし、約21年前に公布された関係法令第21060号の第55条を無効とし、今回の最高法令が交付されたわけであるが、特殊な期限付き労務契約については認められている。よってこれらの法令に反した場合、1千ボリから1万ボリビアノスの罰金が課せられる。
今後、労働者に解雇通告できる理由とは、次の通り。
@ 労働者が故意的に物的損失を犯した場合
A 企業秘密を外部に持ち出した場合
B 安全や衛生に軽率または怠慢な行為がある場合
C 届出無しでの6日間連続して欠勤した場合
D 労務契約に一部あるいは全面的に違反した場合
E 自己退職を希望する場合
F 労働者が盗みを働いた場合
などの場合に限り解雇することができる。
今までは、自己退職(retiro voluntario)の場合、5年未満であれば退職金の支払いは必要なかったが、今回はそういう詳細については特に明記されていない。
2006年の収穫、米は不況
(EL DEBER 5月9日)
2006年に収穫した米栽培の結果は、米の値段の低迷で経済的にいい結果にはならなかった。
昨年まではファネガ当たり32ドルと安定していたが、昨年末に約3万トンの白米が密輸されたことにより、今年収穫が始まると米の価格は、一時はファネガ当たり12ドルと著しく安くなった。収穫がほぼ終わった現在では、25ドルにまで上がっては来ているが、不況である。
3年来にわたる極度な旱魃にあったが、米価がある程度落ち着いており、大きな損害も無く栽培できたが、今回は天候に恵まれ、雨も順調で収量的には最高の豊年となったが、米価が極端に下落した。これを『豊作貧乏』というのであろう。しかし、実際米栽培で生活している農家にとっては深刻な問題である。1年間働いても「ただ働き」しただけでなく、その上に農薬代、収穫代金は借金する形として残り、さらに、次年度に向けて栽培する必要な運転資金すら無くなった事となるからだ。サンタクルス県内での米作の経費は機械化耕地でヘクタール当たり350〜400ドル、焼畑で200ドルとなっている。東部農牧会議所のマウリシオ・ロッカ副会長は米生産者の今年の損失は2千200万ドルとなると発表している。
ボリビア国のコメ栽培面積は全体で16万5千ヘクタール(サンタクルス県=10万、ベニ県=5万、コチャバンバ県=2千、ラパス県=1万3千)、生産高は40万トン、国内消費が80%相当の32万トン、20%相当の8万トンはペルー、チリへ輸出されている。
モンテロ・ワルネス間 二車線道路拡張工事始まる
(EL DEBER 5月3日)
20年前から要請してきたモンテロ・ワルネス間の道路拡張工事は、エボ・モラレス大統領出席のもと起工式が行われ、いよいよ実現の運びとなった。工事はミネルバ建設会社が請け負い、総工事費1,130万ドル。工期は15ヶ月でワルネス、モンテロの環状道路工事も含まれている。
ブファロ・パーク営業開始
(EL DEBER 5月4日)
遊園地『ブファロ・パーク(Bufalo Park)』が5月26日に営業開始する予定。この遊園地はエキペトロール地区に2004年12月から建設が始まり200万ドルの経費をかけた大がかりな遊戯施設で、建物のほとんどが竹で作られており、竹材での建築物としては南米一の規模の建造物である。20種類以上の遊び場と16ヶ所のレストランによって構成されており、家族連れで行くのに楽しめる場所になるだろう。
コカイン捜査中に偽紙幣発見
(EL DEBER 5月7日)
FELCN(Fuerza especial de lucha contra el Narcotrafico=麻薬撲滅特別部隊)は5月5日麻薬捜査のため、ビリャ・プリメロ・デ・マーヨ地区の住宅を捜査中に、ドル紙幣で9,340ドルと49,400ボリビアノスすべて偽紙幣のパックが見つかった。ただちに居住者のペルー人とボリビア人並びに未成年者を逮捕し、偽紙幣の入手ルートなどについて調べている。現在までに偽紙幣がどれくらい市場に流れたかは分かっていないが、関係当局は充分気をつけるように説明している。
MAS党内で仲間割れ
(EL DEBER 5月7日)
今や巨大政党となったMAS党も選挙では勝利したものの、各党員は先住民の結束、同じ文化・習慣、あるいはコカ栽培への関心、そして中には自己利益を目的として結成された、いわゆる混成チームであり、党員の思想を一つにまとめることは容易なことではない。モラレス政権になって毎月のように問題を起こすサンタクルスの,MAS党支局のネジを締めなおすため、アルバロ・ガルシア副大統領が突然来訪し、エボ・モラレス大統領(党首)からの伝言として、ビダル・ケンタ(Vidal Quenta)党員と アドリアナ・ジル(Adriana Gil)党員を強制除名する旨発表したケンタ氏はサンフリアン地区の開拓者連合会の指導者で県内MAS党の第一人者で2005年5月1日からサンタクルス県MAS党支局長を務める人物。ジルさんは承知の如く23歳、カンバの美人であり、エボ・モラレスが議員の時代からMAS党を強く支持し、県内の党員の勢力と団結に努力した人物。
地元サンタクルス県ではこの突然の除名処分に対して不満の意を示しており、また、副大統領はもともとMAS党員ではなく、雇われてきた人物であることから、そんな者から除名通告を受けるのはおかしいと反発している。
身代金目当ての誘拐事件多発
(EL DEBER 5月10日)
身代金目当ての誘拐事件が増発する最近、日本人女性の誘拐事件が起きた。FLCC事務所が受けた夫からの連絡によると、この事件は5月8日の午前8時30分頃、第3環状道路近くで起こり、女性は3人組の誘拐犯に連れ去られ、犯人はその3時間後に夫に身代金として1万2千ドルを用意するよう電話で伝えている。FLCC事務所の発表によると1万ドルを支払って、解決したとのことだ。
大統領・オーストリアに
(EL DEBER 5月11日)
オーストリアのウイーンで第4回ヨーロッパ連合体とラテンアメリカの代表会議に出席するため、11日、モラレス大統領も出発した。58カ国の代表が集まる会議の席で、モラレス大統領は、石油資源の国有化を正式に発表し、各国から統治権については認められたが、突然、賠償金も支払わない一方的な国有化を奨めるのは、国の将来の発展にふたをしているのと同じ行為、との意見が出され、不利な立場になった。
メルコスルとヨーロッパ連合との間での貿易については、ボリビアから自由貿易条約に代わる行政区画間貿易条約を提案したが、賛成されなかった。
冬期時間割りの実施
(EL DEBER 5月24日)
サンタクルス県教育庁は呼吸器系疾患が流行している理由から、学校は5月29日から冬期時間割り実施を発表した。冬期時間割りとは、午前の部に通学している場合、通常時間より30分遅く、午後の部では30分早く授業が始まる。その分30分早く下校できる。
なお、冬休みは7月3日から14日の2週間が予定されているが、天候と流行病の状況に、変更の可能性もありえる、と発表している。
ABJ通信2006年6月号のページへ戻る
サンフアン日ボ協会のページへ
トップページへ戻る